8月の出来事  〜 お部屋探し〜

ついにハンブルクも気温がマイナスの日々がやってきました。
それでも夜になると、クリスマスマーケットは賑わっています。
冬になるとドイツ人は外に出ない、とドイツに来る前は聞いていましたが、クリスマスマーケットは全く別です。行く手を阻む、人、人、人。
それでも、今日も最寄りの駅前に開かれているクリスマスマーケットを通って帰宅しましたが、それぞれのお店からはソーセージやグリューワイン、甘いお菓子の良い香りが漂っていました。今日もあまりの良い香りの誘惑に負け、シュマルツクーヘン(小さなドーナツの様な揚げ菓子に粉砂糖がたっぷりかかった、クリスマスマーケット定番のお菓子)を買ってしまいました。
これも冬眠の準備、いやいや。。。ただただ確実に太りそうです・・・。

さて、今回は8月の出来事を書こうと思います。この時期がある意味一番ストレスに苛まれていたかもしれません。

というのも、今まで住んでいたお部屋が9月一杯の契約だったので、次に住む新しいお部屋を探さなくてはならなかったからです。9月終わりには引っ越さなくてはいけないのに、8月の頭までマスタークラスでニュルンベルクにいた為、お部屋探しを開始したのが、8月の2週目から・・・というなんとも遅い出だし。早急に色々な人に情報を聞き、Hamburger Abendblattというハンブルクの新聞の毎週決まった曜日にでる空き部屋情報に目を凝らし、ハンブルク大学やドイツの教会のインフォメーションの壁に、私がお部屋を探しているという紙を張りつけ、またそこに貼ってあった情報を入手し、毎日インターネットの画面とにらめっこしながら情報を探す、もうこれでもかという程色々探しました。
良さそうな物件を見つけては、そこに電話やメールで連絡をいれ、見学の日取りを約束し、見学に行きました。

ここに住みたい!と思っても、ドイツの秋は新年度でお部屋を探しているドイツ人も 沢山!見学が一般公開見学の時には一つのお部屋に対して15人〜20人は確実に見学にきていて、お部屋を気に入った人は、それぞれ紙に個人情報を書き、提出。その中から大家が住人を選ぶ、という流れでした。しかし、当たり前の話ですが、外国人はまず選ばれる確立は極めて低いのです。
ドイツ人から見れば、見た目からも立派な一人前の成人に見えない、ましては日本人学生の私が一人で行った所でドイツ人に相手にされないと思ったので、途中から知り合いや ドイツ人の友人に頼んで一緒について来てもらったりもしました。

WG( Wohngemeinschaftの略 )といって他人と一つの住居をシェアする物件も含め、ハンブルク市内のあちらこちらを10件以上は見学に行きました。今までハンブルク市内それぞれの地区の場所に疎かった私ですが、これを機に大分把握できるようになりました。

ドイツ人でさえもお部屋探しは大変で、日本人の中には6ヶ月間も見つからなかった人もいたとも知り合いから聞いていましたが、実際本当に難しく、私が気に入っても希望を出している候補者が多く、選ばれなかったり、家賃が学生の私にとっては高過ぎたり(ハンブルクは物価がドイツの中でも高いとの事)、びっくりするくらいボロボロのお部屋、ハンブルクの郊外で交通の便が不便な雑木林の近くのお部屋、情報が少ないまま見学に行って蓋を空けてみたら全く知らない怖そうなおじさんと二人暮らしになってしまうお部屋、ユダヤ人が経営するヨーロッパ人男女混合の10人WGでお風呂が1つのお部屋、と記憶に残る物件ばかりでしたが、なかなか住むとなると選択するには考えてしまう状況でした。

お部屋が見つからなかったらどうしよう・・・路上生活になってしまうのでは・・・という不安で夜がなかなか寝付けない日もありました。
何も進展のないまま3週間、ついに9月頭になっていました。そんな中、夜中にパソコンを血眼で凝視していたある日、ハンブルクの人気の街にドイツ人女性とのWGの物件を発見!その時はもう夜中でしたが、もの凄いスピードで(スピードも大事なのです。1日で既に住居人が決まるパターンもあるのです。)、自己紹介とともにお部屋を見学したい旨をメールしました。
お返事をもらえるまでに3日かかりましたが、見学できる事になり緊張しながらも見学にいきました。住人の方はドイツ人のご年配の女性で、病気の子供達に英語とフランス語を教えている語学 教師で、趣味は音楽、声楽も習っているとの事で、お部屋もキッチンも綺麗で、お値段も今まで見学したお部屋の中で一番安く、とても良い感触で気に入りました。
ただ・・・他にも見学者がいたとの事だったので、今までの様に日本人の私は選ばれにくいだろうな、と半分諦めていたのですが、次の日に連絡があり、10月から住める事になりました。
この連絡をもらった時の安堵感といったら。。。わた飴を口の中にいれた時の感じとでも言いましょうか・・・とにかくほ〜っとしました。良かった〜、、、の一言です。転出日の約3週間前でした。

という訳で、今はこの新しいお部屋で生活をしています。
ここは交通の便も良く、学校までも行きやすく、街中にはスーパーやビオショップ(有機食品や雑貨のお店)、銀行からイケア( IKEA. 日本でもおなじみ、スウェーデン発祥の世界最大の大型家具販売店 )まで何でもある街です。そしてICE(ドイツの新幹線)の停車駅でもあります。
そして以前のお部屋は音出しが出来なかったのですが、ここのお部屋は私が住居人として決まる前に、同居人の方が、近所の方(アパートメントなので上、お隣、下に住んでいる方々全て)に、私が歌を勉強していて、練習しても迷惑にならないかどうかを聞いてくれました。
幸い住人の方々は皆音楽好きの方ばかりで、むしろ歓迎との事で本当に感謝でした。

ただ、お部屋の壁が少し薄く、隣に音が漏れるという事もあり、更に私の練習は毎回曲全体を通す訳ではなく、むしろ同じフレーズを壊れたレコードの様に何度も繰り返したり、端から見たら(聞いたら?) 呪文のような発声と、、、決して耳に優しい、ましてや美しいメロディではないので少し心配もあり、引っ越しをしてからもなるべく学校に行って練習をしていました。

が、つい先日どうしても学校に行けなかったのでついに、今日はお部屋で練習します、と同居人に伝えたところ、

「隣から全然練習の歌声が聴こえてこないけど、あなたの練習を今か今かと楽しみに待ってるって、お隣さんが言ってたわよ。」と言われました。

え〜っ!?

と思いましたが、その日は、“私の練習を楽しみに待っていて下さったお隣さん” に聴かれている、というプレッシャーとともに、リクエストにお応えして随分と長く練習してしまったので、果たして苦情は来ないだろうかと、ヒヤヒヤしましたが・・・大丈夫でした。

これからは徐々にお部屋での練習回数を増やしていこうかと思っていますが、お部屋で練習できる〜!という喜びを抱く反面、私の “壊れたレコードの様な練習という名の騒音” を防音の効いていないお部屋でご披露するという事に抵抗を感じている自分に、あぁ、私は歌い手としてまだまだ肝が座っていないな・・・と痛感する今日この頃です。
それでも、理解のある方々が住む場所に住まわせて頂けて、感謝です。

そしてそんな住宅の前で、つい先日の夜遅く、帰宅時にばったりハリネズミに遭遇しました。
野生のハリネズミに出会うのは初めてだったので、可愛らしくコロコロ歩く針山に感激し、ついつい「君はどこから来たの?どこに住んでるの?」と話しかけながら、私を警戒してじっとその場に凍り付く彼(彼女?)を至近距離から何枚も携帯で激写。
この日から、ハリネズミのファンになりました。
次はいつこの子に会えるかしら・・・期待は膨らみます。



家の前でばったり出会ったハリネズミ
名前の通り、本当に針だらけ。
でもコロコロ歩くその姿は本当に可愛かったです。

予期せぬ私との遭遇に凍り付いていました・・・
至近距離で沢山写真を撮ってごめんね。