〜5月の出来事 その② 〜 オラトリオ《ヨシュア》を聴きに

今日もハンブルクは真夏のお天気でした。
スーパーから一緒に出て来たおばちゃんが、外気のあまりの暑さに「Scheiße!! (くそっ!)」と叫んだのでビクッとしてしまった今日この頃です。
そして先ほど夜の11時半過ぎに家の近くのエルベ川沿いからブォ〜ン、ブォ〜ンという船の汽笛が聞こえて来ました。いつもならお昼時でも1, 2回しか聞こえて来ない船の汽笛、こんな夜中だというのに、何度も鳴り響いていて、その直後何十発もの花火が打ち上げられている音。残念ながら私の部屋からは見えませんでしたが、今日は何の日?何があったの?と全く知らずにいたので調べてみた所、今日はイギリスの豪華客船Queen Mary 2 がハンブルクの港に訪れていたそうで、出航のセレモニーがあったようです。ハンブルクが港町だという事を改めて実感した出来事でした。ハンブルク港に次にQueen Mary 2 が訪れるのは8月7日だそうで(案外頻繁に来るのですね。)、まだ港をじっくりと観光した事がない私は、スケジュールが合ったら見物しに行こう!考えております。
因に、以下のリンクからQueen Mary 2 のハンブルク港訪問の予定、写真、訪問の様子の動画が見られます。動画にはQueen Maty 2 が入港してくる様子が映っていますが、その周りの小舟、ヨットの数!恐らく見物の船でしょうか、ジンベイザメに付いて泳ぐ魚達を思い出しました。
http://www.hamburg.de/queen-mary-hamburg/

こんな豪華客船にいつか乗って旅をしてみたいな〜と夢と妄想を膨らませながら、今回は5月の出来事   その②を書いてみようと思います。

5月上旬に、ハンブルク市内一番の音楽ホール(Laeizhalle) にヘンデル作曲のオラトリオ《ヨシュア》を聴きに行って来ました。Lurence Cummings指揮、合唱はNDR(北ドイツ放送)合唱団でした。NDR合唱団の第一ソプラノの知り合いの方が感謝な事にチケットを譲って下さり、とても良い席で聴かせて頂きました。
ヨシュアを全部通して生で聴くのは初めてでしたが、今回のオーケストラが使う楽器は全て古楽器で音色も上品で味があり、合唱団、ソリストの方々も本当に素晴らしい演奏でした。指揮者のテンポも軽快で歯切れ良く、後味の良いすっきりとした演奏でした。
ヘンデルの作品はオラトリオもオペラもアリアは必ずda capo.(冒頭に戻る)があり、A – B – A’の形で演奏されるので、兎にも角にもヘンデルの作品は全部聴いてしまうと果てしなく長いというイメージがありましたが、今回の演奏はそれも感じる事なく最後まで聴く事ができました。中盤で、表彰式でよく流れるユダス・マカベウス(これもヘンデルのオラトリオですが、ヨシュアを作曲したヘンデルは同じ曲をユダスマカベウスにも使用したとの事。)の有名な合唱曲が出て来たり、ソプラノのコロラトゥーラの難しいアリアで会場が沸いたり、ファンファーレのトランペット(これも勿論古楽器!)の堂々たる演奏に聞き惚れたり、とあっという間の3時間でした。
休憩中に最上階まで登って正面から会場を眺めていたら一人のおばさんに声をかけられ、日本から来てクラシックを勉強していると話をしたら嬉しそうに色々とお話してくれました。
終演後は鳴り止まぬカーテンコールを後にし、NDR合唱団員の方にご挨拶しに行こうと思ったのですが、楽屋入り口がわからず、間違って舞台袖に迷い込んでしまい、さっきまで素晴らしい演奏をしていた指揮者やソリスト達の真横を仕方がないので何食わぬ顔で通過し、関係者らしき人に合唱団の楽屋はどこですか?と質問して教えて頂いたお部屋を目指すも、皆さん撤収が早い!皆次々と帰って行く所を慌てて探したら、あっと言う間に楽屋口から外に出られました。あ、ここが入り口だったのか〜!と思った矢先に知り合いの方を見つけ無事にお会いする事ができました。結局舞台裏を通過してそのまま外に出たという・・・。
こんなエピソードはともかく、コンサートに行くと気持ちも音楽に対する姿勢もリフレッシュされて最高のビタミン剤だと感じます。

Leizhalleのホール。休憩中に最上階の正面から。


そしてドイツでは良く見知らぬ人から声をかけられる、という件で今思い出した全く関係ない余談を。
先日早朝、朝ご飯を食べ損ねた私は電車の中でチョコレートを一つ口の中に放り込んだのですがそれを見ていた隣に座っていた2人のおばあさんから、「それは朝ご飯?」と聞かれたので、「そうです」と答え、もう一つあったチョコレート(こんな時に限って、イースターの時の余っていた卵形のチョコレートで、目のくりくりした可愛いヒヨコの絵が書いてあり、幼稚園や小学生の子供が食べそうなチョコレートでした・・・)を見せると、その子供っぽ過ぎるチョコレートに「あら〜!」とおばあさん2人して笑ってくれました。「チョコレートは良いわよね!カカオの割合が多いのから少ないの、色々あるけど、それはミルクと糖分がたっぷりそうね。あなたはまだ小さいから沢山食べて大丈夫だけど、私たちが食べたらもっと太っちゃうわ〜ふふふ。良い一日をね♪」と言って下車して行きました。
私は果たして何歳に見られたのだろう・・・と思いながらも、心ほっこりする出来事でした。
日本では知らない大人に話しかけられても話してはいけない、と言われていますが,
見ず知らずの人との会話も楽しいですね。間違ったドイツ語も直してくれますし。(笑)
勿論、どこの国であっても怖そうな人、怪しげな人、良い人そうだけど実は悪い人(この種の方々は見分けるのは難しいですが)には近づいてはいけませんが・・・。
街中でもふとした一時のこういったコミュニケーションは小さな嬉しい事を沢山集められる様な気がします。




イースターの卵とひよこ達。ガストファミリー宅にて。






〜5月の出来事 その①〜 自転車での小旅行

5月始めに、ガストファミリーから自転車を貸して頂きました。
といってもドイツ人の成人のサイズは私には大きすぎる為、娘さんのお下がりの子供用サイズ。
今住んでいる家からは電車で一時間程離れた所にガストファミリーの家があるのですが、遅い午前中のブランチにも招待して下さったので、お腹を空かせて電車で向かいました。

ガストファミリーのお父さんが近くのパン屋さんで色々な種類のパンを買って来てくれ、近くに住むおばあちゃんも一緒に皆で美味しく頂きました。
その後ゆっくりくつろぎ、最近やってきたPurcy(女の子)とボールで散々遊んだあと、お父さんが私用の自転車を庭に運んできてくれサドルの調整、試し乗りはお庭で。ドイツ人の子供用のサイズがやはりぴったり。赤くてスポーティーなタイプです。
その後はPurcyも連れて、それぞれの自転車に乗りサイクリングに出かけました。

ボール遊びとお父さんの事が大好きなPurcy。とっても賢く可愛い女の子です。


Sバーン(ハンブルクの市街鉄道)に自転車ごと乗り入れ(ドイツでは自転車をそのまま乗せられます。)、自然豊かなStadeという場所で下車、そこから草原とりんご畑の中をひたすら走る。走る。走る。途中巨大な馬に遭遇したり、乳牛の群れに出会ったり進めど進めど空と大地が広がる風景の中、永遠と走り続けていました。さらに整備されていない道も多く、砂道に車輪を持って行かれ、自転車を押して歩き、また乗りの繰り返し。この草原はどこまで続くの〜?と心の中で半べそをかきながらもなんとか家々がある集落までたどり着き、ガストファミリーのお父さんが卒業したという小学校の横を通り過ぎ(Heimat〜!(故郷〜!)と嬉しそうなお父さんでした。)、古い教会で一休憩。礼拝堂を見学し、古い佇まいに感動。ここではオルガンコンサートがよく行われているそうで、お父さん曰くその日の夜もガストファミリーのおばあちゃんはこの教会にコンサートを聴きに来るのだそう。

その後エルベ川沿いのフェリー乗り場まで行き、向こう岸に私の今住んでいる街があるので、そこでガストファミリーとお別れしました。(お別れする時、到着ポイントが向こう岸に見えるのに、今から長い航海にでも出るかのごとく見送ってくれたガストファミリー。同じハンブルク市内に住んでます。)自転車と共に小型フェリーに揺られる事約10分(定期の提示だけで乗れます!)、カモメが風に身を任せて悠々と飛んでいるのを間近で見ながら、無事に反対側の岸に到着。家までもうすぐ、と思いきや、最後の最後に一番の難関が私を待ち受けていました。ついた場所はBlankeneseという高台の街の麓。私の家に辿り着くにはその高台を超え、さらにもう一つ丘を超えなければなりません。
今までバスでこの辺りに来た事はありましたが、自転車でここに来たのは勿論初めてで地図もなかった為、なんとな〜くこっちの方?というアバウト過ぎる方向感覚だけを頼りに、途中までは頑張って自転車を走らせていましたが、あまりにも急な上り坂が多いため、最後の力を振り絞って・・・・・・・押して歩きました。
途中トトロの映画にでてきそうな木の茂みのトンネルの様な道もくぐり抜け、感動して何度もそこで深呼吸をしましたが、写真にその景色を収める気持ちのゆとりと体力も全く残っておらず、ひたすら自転車と共に家を目指しました。丘を登りきってから少し下る坂で、思わずプルプルした両足をぐ〜っと伸ばして風を切って走る爽快感と開放感は忘れられません。
幸いにもこの日は疲れすぎて逆に頭が冴えていたのか珍しく迷いもせずに家までたどり着く事が出来ました。この日だけで何時間走ったのでしょうか・・・明くる日、全身が筋肉痛に苛まれたのは言うまでもありません。
これも良き経験です。


真ん中を走ると砂に車輪が埋もれてスリップする為、端を器用に走るお父さんとPurcy(右手前)。
前方には風力発電のプロペラが回っていて、風の谷のナウシカを思い出しました。 

どこまでも続く草原をひたすら走る。走る。走る。




途中立ち寄った教会。
祭壇の右側にビジター用の記帳ノートが置かれていて、色々な人たちが訪れた時のコメントが書かれてありました。ガストファミリーから日本語で書いて!との要望だったので日本語で記入して来ました。








帰りに乗った小さなフェリー。これが来るまでの間、ガストファミリーと近くにあった出店でカリーブルスト(2センチ程にカットされたソーセージにケチャップとカレーパウダーがかかったドイツ人の好物。ハンブルク発祥!らしい。)を頬張っていました。
ここから向こう側に見えるBlankeneseの街へ渡りました。
この日はハンブルクらしい曇りの空でした。
カモメがギャー、ギャーと鳴きながら風に身を任せて飛んでる姿は眺めている方も悠悠とした気持ちにさせてくれます。





太陽が眩しい季節になりました。 〜 4月の出来事 〜


今日は7月19日。7月もいよいよ後半に入ってしまいましたね。
日本はもうすぐ梅雨明けでしょうか?
前回のブログ更新から約3ヶ月も経ってしまっていました・・・。なんと月日が流れるのが早い事でしょう・・・!!
気がつけば、ハンブルクも太陽の眩しい季節になりました。眩しいと言いますか、眩し過ぎてオーブンの中の鶏肉にでもなった気分です。幸い日本の様な湿度はありませんが、瞳孔に差し込んでくる光の明るさは非常に強く、日本より紫外線も何倍も多い様な気がします。日本では、日焼けをすると赤くなってしまっていた私の肌も、こちらでは順調に焼けてきております。しかも数週間長袖を着て出歩き、顔以外に日焼け止めを塗るのをすっかり怠っていた為、指先から手首までが日焼けし、腕まくりをすると色の違いに愕然。友人から昨日、ポッキーみたいね、と言われました。
今日から週末にかけてハンブルクは最高気温30度越えの予報。しっかり半袖を着てまんべんなく焼ける様、出歩きたいと思います。

久しぶりのブログなのに、しょうもない事から書いてしまいましたが、この約3ヶ月、沢山の経験をしました。
一気に書いてしまうと、読んで下さる方も、私もぐったりする事間違いないと思いますので、思い出しながら回を分けて少しずつ書いていこうと思います。

まずは4月27日にあった室内楽のコンサートの事から。
この日はハンブルク市内にある老人ホームで同じ学校で学ぶ仲間とバッハの結婚カンタータを演奏させて頂きました。ここの老人ホームには可愛らしいサイズのチェンバロが置いてあり、演奏に使わせて頂きました。一番私にとって新鮮だったのは、皆ご老人の方々がバッハの音楽が大好きだという事。これはこの国ならではなのかな、と感じました。勿論言語の事もありますが、バッハの音楽は季節の節目でドイツの至る場所の教会で演奏されますので、ご老人の方々が生まれ育って来た環境そのものといかにバッハの音楽が密接に関わっているかを実感しました。
私たちが演奏している間、ニコニコとした表情で音楽に身を委ねて聴いて下さる姿に、私たちも喜びを分けて頂いたような気がします。またいつか老人ホームで演奏する機会が頂けたらと願っています。
そしてこの日はお天気も良く、芝生が青々を光っていました。

4月下旬、老人ホームでの演奏風景(ボヤケてしまっていますが・・・)

終演後、とてもお天気が良かったので屋外でメンバーと一緒に。

演奏させて頂いた老人ホーム。