6月の出来事 その① Angela Denoke マスタークラス

ブログを更新するのをまたすっかりご無沙汰してしまいましたが、ハンブルクはすっかりジャケット必須の季節になりました。もの凄く暑い!!と思った期間は、締めて2〜3週間といったところでしょうか。日本の梅雨明けから残暑までの蒸し暑く長い夏に馴染んでいる私としては、ついに夏が来た〜!頑張って夏を乗り切ろう〜!とエンジンがかかってきたかと思ったら、急にぐんと気温は下がって涼しい風が吹き渡り、あれ??っと拍子抜けしてしまう程短い夏でした。電車の中では風邪気味で鼻を擤む、くしゃみをするドイツ人も多く見かけました。(それでも半袖を着る彼らは一体どんな体感温度をしているのでしょうか・・・。)
夏が嫌いではない私にとっては逆に少し寂しい気持ちにもなりました。
しかし長年ハンブルクに住んでいる知り合いの方に「とっても短い夏でしたね〜」と言うと、その方は「いえいえ、例年になく日照時間も長く今年の夏は良い夏でした!」と仰っていました。そ、そうでしたか・・・。

先日、母から「今日は中秋の名月でした。」というメールをもらってから、毎日夜空のキャンパスに白く輝いて現れる大福(食べたい・・・。)の様な月を見ては、秋だな〜としみじみ感じる今日この頃です。

さて、また思い出しのブログになってしまいますが、今回は6月の思い出に残しておきたい出来事の一つを書こうと思います。

6月上旬、学校でソプラノ歌手のAngela Denoke マスタークラスに参加しました。
彼女はヨーロッパで活躍されているオペラ歌手です。一流の劇場で活躍されている歌手なので当たり前かもしれませんが、マスタークラス中、受講者が歌う曲の1フレーズを歌ってくれる時、その第一声がもう違うのです。声の響きも勿論、1フレーズなのにその音楽がとても生き生きとしていて血が通っていて、彼女自身もその音楽を隅々まで楽しんでいる様に感じました。これは天性のものなのだと感じましたが、世界のトップで活躍するプロの歌手はこうゆうものなのだ、というのを目の当たりにした4日間でした。
私はリヒャルト•シュトラウスのオフェーリアの歌曲の3曲目、メンデルスゾーンのズライカをレッスンして頂きましたが、特にオフェーリアの歌曲は、狂乱したオフェーリアの純粋な愛と狂気が入り交じったガラスの様な感情を、シュトラウスが描く不安定なハーモニーにのせて、その音楽の聴衆への“見せ方”を中心に教えて頂きました。彼女は演技も上手で、この面は特に勉強になった様に感じます。
狂乱した女性を演じて歌う・・・何日も続けていたら鬱になりそうな作業ですが、思いのほか楽しんで歌えました。歌っている途中、集中しすぎて瞬きをするのを忘れ、目がカッピカピに乾いてしまい、歌った後はいつも目が痛くなるというこの作品でしたが、私にとって更に続けて勉強していきたい、と思う作品との出会いでもありました。
マスタークラス修了後は、それぞれ一人ずつ個室でお話して下さり、彼女のCDもプレゼントして頂き、写真も一緒に撮って頂きました。
雲の上の様な存在である彼女の様に素晴らしく歌う事は、到底私には不可能ですが、それでも実際にレッスンして頂く事で、今後の私の歌の糧の一部になったと思います。

マスタークラスのポスター

頂いたCD

サインも書いて頂きました。

マスタークラス修了後、Angela Denoke氏と一緒に。