3月と4月の予定


少し前にパーセル『ディドとエネアス』の楽譜をついに購入。
楽譜屋さんで品切れだったので、取り寄せてもらいました。


先日、現在在学している校内でイギリスバロック音楽作曲家、ヘンリー • パーセルのオペラ『ディドとエネアス』のキャストオーディションが行われました。
感謝な事に、ベリンダ役を歌わせて頂ける事になりました。
このオペラはヴェルギリウスの叙事詩『アイネーイス』に基づく台本で、全体で1時間弱というオペラとしては短い作品ですが、パーセルの作品で唯一のオペラで傑作と呼ばれ、イギリスバロックオペラでも重要な位置を占める作品だそうです。(昔音楽史の教科書にも出て来たような記憶が・・・。)
初演は1689年12月、ロンドン。
パーセルとは全く関係ありませんが、この年に日本で何が起こっていたのかと調べてみると元禄2年、この時代の天皇は東山天皇、江戸幕府将軍は徳川綱吉、そして松尾芭蕉が2月に奥の細道の旅に出て、8月に大垣で旅を終えた年だそう。(日本史は特に苦手な私ですが・・・思わず調べてしまいました。)
この時代にもうオペラが古楽器でとはいえヨーロッパで上演されていたなんて・・・当時はどんな演奏だったのだろう・・・どんな歌手が歌っていたのだろう・・・と想像は膨らむばかりです。

今回はハンブルク音楽院の学長の指揮とチェンバロ、学生+エキストラのオーケストラでの公演になる予定です。本番は3月26日。
キャストのスケジュールが合えばハンブルクだけでなく、他の日にキール(ドイツのハンブルクよりも更に北部)にも移動して演奏するという話を先日聞きましたが、これはあくまで噂なのでまだ詳しくわかりません。
そしてオーディションの時から苦戦していること、それはイギリス英語です・・・!
アメリカ英語に関しては、発音だけはいつも褒められるのですが、イギリス英語の子音の固さ、ひとつひとつの言葉の明瞭さにはまだまだ慣れません。
そして装飾の付け方にもセンスが必要です!
まだ全体での練習は始まっていませんが、ベリンダは歌う箇所が沢山あるので、私なりに課題をクリアできる様に勉強したいと思っています。

そして、4月は知り合いの2人のオルガニストからお声をかけて頂き、ハンブルクのそれぞれ違う教会で歌わせて頂ける事になりました♪
一つはクープラン作曲のルソンドテネブルを、今ハンブルクのNDRの第一ソプラノで活躍されているソプラノ歌手とデュエットで歌わせて頂きます。(4月4日)
もうひとつはイースター前の受難週の礼拝でバッハのマタイ受難曲からソプラノのアリア、他数曲程、ソロで歌わせて頂く予定です。(4月18日)
特にクープランのルソンドテネブルは今回初めて歌う曲で、これはフランスバロック音楽、装飾や楽譜の読み方等、新たに勉強させて頂けるチャンスなので感謝です♪

また4月13日もしくは27日でKammermusik(室内楽)の演奏会にも出演します。
詳しくはまた改めて更新させて頂きます♪
どの演奏会も今から楽しみです!





お天気が続くハンブルクより。

日本は各地で大雪と聞いています。
私の実家がある所沢もかなり積もったようで、今年はここ数十年で一番降ったのではないでしょうか?
ハンブルクではここの所珍しく青い空が見られる日が続いています。
日の光のぬくもりってこんなに心地良いものか、と改めて実感しています。
これまで、どんよりとした曇りの日が続いていたので、気持ちも一緒に暗くなりがちで気が滅入りそうになる時もありましたが、最近は誰の行い(?)が良いのでしょうか??
太陽の明るい光を見ると元気がでます!
今はドイツよりも日本の方が寒いのではないでしょうか・・・。
部屋からはリスが木々を飛び回っている姿がよく見られるのですが、きっとドイツの動物たちはこの暖冬で冬眠を忘れているのでは???と思います。


 〜   ハンブルクの青空    〜
小さくわかりづらいですが、この木の上の方に、Rotkehlchen(ロートケールヒェン(意味 : 赤いちいさな喉)という胸の所がオレンジ色の鳥がとまっています。雀よりも少し小さめで、ほれぼれするさえずりです。
ドイツでよくポストカードになっているのを見かけます。私も大好きな鳥の種類です♪


気がつけばすっかり2月も半ば!
先日まで校内で短期的にイギリス•バロック音楽セミナーが週に1度、4週にわたって開かれていました。
監修はバロック音楽のスペシャリストでもあるテノールのKunut • Schoch先生。Kunut先生は、毎週3時間休憩なしの講義で最初から最後まで少年の様なキラキラした目で講義して下さり、聴講者は終盤ぐったりしている中(なんせ夜9時半過ぎまで学校の講義室でみっちでしたので。。。)、毎週先生の勢いは最後まで衰えず、このスタミナはどこから来るのだろう?と思う程エネルギッシュな先生です。
今回は“イギリス作曲家 ”限定だったので、残念ながらJ.S.バッハは入っていませんでしたが、J.ダウランドからパーセル、ヘンデル(ヘンデルはドイツ人ですがイギリスで活躍しました。)等、イギリス•バロック作曲家の王道の曲に改めて出会う事ができ、チェンバロやバロックギター奏者も来て下さり、バロックならではの音楽に触れる事ができました。
私の声質から、バロックも勉強していきたい分野なので、どの作曲家も興味深く今後も続けて勉強していきたい曲ばかりでした。
セミナー修了後には受講生の演奏会も開かれ、今回私はヘンデル作曲の『エジプトのジューリオ•チェーザレ』よりクレオパトラのアリア、“Da tempeste il legno infranto”(海の嵐で難破した小舟は)をチェンバロの伴奏で歌わせて頂きました。
今までピアノの伴奏でしか歌った事がなかったので、チェンバロの音色に馴染めるか始めは不安もありましたが、古楽器ならではの繊細さと豊かな装飾に包まれて楽しく歌わせて頂きました。実際には、自分自身のテンポ感、バロック様式の装飾音の付け方を更に修正したり発声的•音楽的な鍛錬も多々必要と感じましたが、これも含めて勉強になりました。
この曲は全体的に華やかな曲でしたので、演奏会はまさかのトリで、いつも早々と歌い終わってゆっくり他の演奏を聴きたい私にとってはこれもまた一つ良い勉強になりました。

そして、今週月曜日からはHochschuleで世界的に有名なコロラトゥーラソプラノのエッダ • モーザーの公開レッスンが行われていたので、時間を見つけては足を運んで聴講してきました。オペラアリアを中心にレッスンしていましたが、私にとってもヒントになる事がいくつか発見でき(特に体の使い方、感じ方等)、人のレッスンを客観的に聴くのも非常に勉強になります。レッスンを受けている受講生の声が変わる時、その変化が見える事はとても興味深いことです。音って、目に見えないけれど、確実に目に見えるものだな、と感じました。
そして息の流れの重要性も再確認しました。歌なんだから“息”の流れは当たり前の事でしょ?!とも思うのですが、私にとってこれがなかなか難しい事の一つでもあります。

そして昨日は、午前中から学校で自分自身のレッスンもありました。
今回のレッスンはシューベルトの “Nacht und Träume” (夜と夢)。
昨日の朝は体調的に眠気がすっきりと取れない目覚めだったので、私自身が夢の中に行ってしまうのではないかと思いましたが・・・
気がつけばこの一曲で1時間以上が経過していました。時間を忘れてレッスンしていたので気がついた時には私も先生もピアニストも時計を見てびっくり・・・お昼時間もまるまる使ってしまいました。たった3ページの曲なのに・・・。
(長くレッスンして頂いた先生、付き添って頂いたピアニストにも感謝です。)
この曲はゆっくりと深い呼吸のフレーズの中で歌われる美しい曲で、私は“大”がいくつもつくほど好きな曲なのですが、聴くのと歌うのでは訳が違います。
長いフレーズの中で言葉と和音に沿った音色の変化を表現する為に、身体の全神経を集中させないと歌えないと言っても過言ではないくらいに、難しく、一度呼吸の仕方が甘かったり浅かったり、何も考えないで無計画に歌ったりした時には窒息しそうになる曲です・・・(最終的には“無”に近い状態で歌えたら理想ですが)。
今日初めて先生のレッスンに持っていきましたが、先生のアドバイスもとても明確で、例えの表現もイメージしやすく、沢山のヒントを頂けたので、これを自分の中で消化できる様、次のレッスンまで、自分自身の体が酸素ボンベにもなれる様に(ちょっと違う?)練習したいと思っています。