" 新しい年 " と 回想記9月の出来事 " NDR合唱団での初仕事 "


今年もどうぞ宜しくお願い致します。
(我が家のご長寿、ミカエル。人間の年齢で言うと90歳です。)


2016年が明け、気がつけば既に3月に入ってしまいました。
日本では梅の花が満開の頃でしょうか?個人的には蝋梅が大好きです。
ハンブルクでは、3月に入ったとは言え、雪がちらつく日もあり、吐く息はまだまだ白いです。ホッカイロとモフモフ帽子、手袋が手放せません。日本でいつもお世話になっている鍼の先生から先日帰国した際に沢山のホッカイロの差し入れをいただき、毎日使わせて頂いています。感謝です。


なかなか時間が取れずに、新年のご挨拶もできないまま放置してしまっていたこのブログですが、やっと今日から学校が春休みに入りました。回想記も溜まりに溜まっているので、少しずつ時間を見つけて更新していければと思っています。

昨年はマイペースながらも色々な方々に支えて頂きながら、沢山の貴重な経験をさせて頂きとても感謝な年でした。大変お世話になりありがとうございました!
今年は大きな変化が待ち受けていそうな、そんな年です。ノミの心臓の持ち主の私には不安の方が大きいですが、今年も引き続きマイペースに私らしく走っていこうと思います。

今更ながら、本年の目標。
やりたいこと、やってみたい事はあげれば山ほどありますが (沢山美味しいものを作って食べる、沢山自然と触れ合う、良い音楽に触れる、家族を大切にする、等々・・・)、究極的な目標(人生の目標とも言う)は、

"置かれた場所で咲く"。

この言葉は尊敬する方の一人である渡辺和子さんが書かれた本の題名からお借りした言葉です。この本をご存知の方も多いと思いますが、私にとっても毎度心に響く言葉です。

今年も既にいくつかの本番、そしてオーディションがありましたが、上手くいこうがいくまいが、毎回自分の小さな器量に奈落の底に突き落とされて、周りがキラキラと輝いて見えたり、もう猫になってしまいたい、、、と思ったり、がっかりすることも少なくないですが、感謝を忘れず、この言葉の通り私らしく、しかるべき所で歌わせていただく、笑って(これは得意)泣いて、生きていけたら、と改めて感じる今日この頃です。

そして、最近特に思うことは、世の中が混沌としているということ。
毎日心がざわつくニュースばかりが飛び込んできますが、他人を思って祈る、という事も忘れないように生活していけたらと思います。

遅ればせながら・・・
本年もどうぞ宜しくお願い致します!!

それでは、回想記に入りたいと思います。
あぁ、もう遥かむか〜しの話の様な、自分がもうおばあさんになったような心境ですが、今回は昨年の9月の出来事を書かせて頂きます。
この月は、NDR合唱団での初仕事に明け暮れていました。2つのプロジェクトを頂き、一つはウェーバー作曲の歌劇《魔弾の射手》のハンブルク、パリ公演。もう一つはNDRスタジオのファミリーコンサートのアンデルセン原作、John Høybye作曲(両者ともデンマーク人)の《人魚姫》でした。

初めての練習でNDRのスタジオに入った時はオーディション同様、かなりの緊張でしたが、とても勉強になる現場でした。
そしてプロは3日で仕上げると言われますが、本当にその通り。
初日は皆楽譜に噛り付き、びっくりするほどバラバラ(笑)なのですが、2日後には仕上がっている、本番はもっと仕上がる、そんな事を目の当たりにしながら、私も新米にも関わらず、あなたはここね、といわれた最前列の席で、ヘマをしないように必死に周りについて行きました。
歌っていて何が心地よいかって、この合唱団は皆の声質の粒が揃っていて、音程が素晴らしいのです。ハーモニーがピタッと合う快感は忘れられません。
ハンブルクでの公演はライスハレ(Laeiszhalle)で2公演、その後パリに飛びシャンゼリゼ劇場(Théâtre des Champs-Élysées)で最終公演でした。
オーケストラはNDR放送交響楽団、指揮はトーマス・ヘンゲルブロック氏(Thomas Hengelbrock)でした。

今回、ライスハレのシーズンオープニングコンサートという事もあって、MDR(ケルン)放送合唱団との合同合唱で、なんと高校と大学の先輩がその合唱団に所属されていて、今回ドイツでご一緒できてとても嬉しい公演でもありました。

この公演の様子(ハンブルク公演)の写真は以下のリンクで見られます。
ページの一番下の動画はリハーサル模様と、ヘンゲルブロック氏のインタビューが見られます。動画の終盤、私は1列目の一番左、オレンジ色の服で歌っています。

http://www.ndr.de/orchester_chor/sinfonieorchester/konzerte/Der-Freischuetz-konzertant,openingnight218.html

また本番の録音(ハンブルク公演)は以下のリンクから聴く事ができます。

http://www.ndr.de/orchester_chor/chor/


この公演は兎に角、忙しかった・・・の一言に尽きます。
ハンブルク2公演の次の日、飛行機でパリに飛び、その日のうちにリハーサル、本番、次の日ハンブルクに帰国。パリ滞在はなんと正味23時間程。海外移動で乗り換えを除けば今回が最短記録です。ハンブルクは地元?に近いので今回はパリの写真を載せます。

ハンブルク空港からパリまで、AF 1441便に乗りました。

美しい青空でした。

パリ空港にて

用意していただいたホテル。
私にはもったいないくらいの広さでした。

ホテル外観。

NDR専用バス。これでホテルからシャンゼリゼ劇場まで移動でした。


バスの中からチラッと見えた凱旋門。
観光をする暇はありませんでしたが、人生2度目のパリ(1回目は東京少年少女合唱隊時代の演奏旅行でした。)
凱旋門ってこんなに大きかったかしら、と驚くほどの大きさでした。恐るべしナポレオン。



シャンゼリゼ劇場。(でもシャンゼリゼ通りに面しているわけではありませんでした・・・笑)


入り口の演奏会演目のポスター


劇場から数秒歩くと、エッフェル等が聳え立っていました。
眺められた時間、数分のみ・・・。
開演前の劇場ホワイエ。


2階ホワイエ

扉を入ると、それぞれの個別ボックス席に入れます。



素敵な絵も飾ってありました。
この劇場の美術を手がけたモーリス・ドニの作品なのかどうなのかは不明ですが、柔らかいタッチの絵でした。


劇場内部。
左手にはマックス役のテノール歌手Nikolai Schukoff氏が音響チェックをしていました。
本番中、彼は自分の出番まで、舞台袖でオーケストラの音色と共に大いに踊っていたのはココだけの話。自由だ・・・と思った瞬間でした。


劇場内の天井。
シックな印象でした。

舞台裏

楽器を運ぶメタルのケース。
引っ越し公演は大変な事と改めて感じました。

舞台から、リハーサル風景。
合唱の立つ台、団員が動く度に船に乗っているかのように動き、前に立っているマイクの棒がユラユラと揺れ、だいぶ年期の入った舞台でした。合唱団員は歌唱力と共にバランス力を求められる公演でした。このパリ公演はフランス国放送で流れたそうです。が、この揺れているマイクで本当に大丈夫だったのでしょうか・・・。

次の日のホテルの部屋から、朝日。


パリを全く味わう事なく、驚くほどあっという間にハンブルクに帰ってきました。
復路の飛行機の中で、隣に座っていた団員さんがAu revoir Paris!(さようならパリ)、今回は滞在があまりにも短すぎたわ」とつぶやいていました。確かに。笑

パリ公演を終えた次の週からは《人魚姫 Die kleine Meerjungfrau》の練習が始まりました。
これはクラシックとは打って変わって、ジャズ音楽のような、それでもクラシック音楽のような、面白い作品でした。今回はNDR交響楽団アカデミーのアンサンブルが一緒に演奏しました。人魚姫役は第1ソプラノの、私を含む4人が歌う事になり、周りの声と合わせるのに緊張しましたが、これは私の中ではかなり得意な分野(逆の意味では、ソロに不向きな目立たない声とも言いますが・・・苦笑。)でしたので、周りがとにかく綺麗な声で歌ってくれるので、それに合わせて気持ち良く歌わせて頂きました。この本番はなんと3日続けて6公演。練習日数が3日しかなく、魔弾の射手を終えたばかりだったので、もちろん皆譜読み状態から始まり、もう本番。これは初見力が必要です。それでも、本番が6回もあるので、本番中にぐんぐんと仕上げていくこのプロの力。とても勉強になりました。毎回、皆で「あと残り◯回!!」と数えながらこなしていました。もうさすがに6回も連続で歌っていると、帰宅しても鼻歌で出てくるのはこの音楽・・・。
それにしても、正団員の方々はこれを毎週続けて行くのだと思うとただただ脱帽です。
今回の《人魚姫》はファミリーコンサートという事で、小学生がクラス単位でNDRスタジオに集まり、長い時間集中力がもつかな?とも思いましたが、ナレーションが加わった事もあって、ナレーターがストーリーを進めて行くのですが、途中の魔女は声色をエレクトリックに変えたりと、私でも「怖い〜・・・」と思ったほど・・・そして途中で皆参加型の身振りがあったり、あるフレーズを一緒に歌ったりと、子供達も皆真剣に、ときには楽しそうに耳を傾けてくれていました。
4演目終了後帰ろうとした時、団員さん(オーディションの時に審査が進む度に毎回 Frau.Kato!加藤さん!)と呼んでくれた方が、「今日の第1ソプラノのソロ、とても美しかったわ!」と褒めて頂き、少しは仕事ができたかな、と胸をなで下ろす心境でした。
この時の様子も以下のリンクから演奏を聴く事ができます。リンクページの音源の下には写真も見られます。私が真剣な顔をしているのは、ハミングに近い「ウ」の母音で歌っているという理由です・・・。

https://www.ndr.de/ndrkultur/epg/Mikado-Klassik,sendung474010.html


今回は子供達の前で演奏できた事が特に嬉しかったです。

それでは、最後におまけを。(親(?)馬鹿のような自己満足とも言いますが。)
再び愛猫のミカエルの写真で、2016年初めてのブログを終えようと思います。

2016年が皆様にとって良い一年でありますように願いつつ。



ご機嫌のミカエル。通称ミーちゃん。
私は帰国する度に最大限に彼に癒されています。
もうおじいちゃんですが、今年も元気に長生きしてもらいたいものです。