6・7月の出来事 〜 《いちごの季節、そしてオーディション》

気がつけば季節は12月に突入。
なんだか以前にも増して異常に日が経つのが早い気がする今日この頃です。
ブログもすっかり"回想記"になっていますが、この記事をアップするのは12月。今日書かせて頂く内容は6月と7月の事で、もうすでに半年前・・・。
しかし、思い出す、思い起こすという作業は忘れっぽい私にとってとても大切な事です。自分がその時何を感じたのか、何を思ったのか、何を反省したのか、何を学んだのか、何を問うたのか。と書くととても堅苦しい感じですが、自分に与えてもらった、経験させてもらった事を思い出す事、数えてみることは改めて「感謝」をする事につながります。上手くいかない事が沢山あって、すぐに消極的に考えてしまいがちになりますが、小さいことから大きい事まで自分に頂いた幸せを思い出して数える事は本当に大切だ、と最近改めて感じます。このブログを書かせて頂く事は、「感謝」を思い起こして書きためる、そんな作業のように思います。
とは言っても、そんなに立派な事は書けませんが、優秀ではない頭の中で記憶を辿ってみました。

ということで、まずはささやかな「幸せ」の思い出から。
6月(正確には5月頃から始まっていますが)といえば、私の大好物のいちごの季節です。
街にはいちごを売るいちご型の売店が目につき、パックに溢れるほどのフレッシュないちごが並びます。風にのって漂ってくるいちごの甘い香りを嗅ぐ度に買いたい衝動に狩られるのですが、毎度買っていては私のお財布が悲鳴をあげるので、我慢しながら2度だけ、贅沢に大きいパックで買って楽しみました。みずみずしくて、口に頬張ればそこはもうパラダイス。ただし、スーパーなどで買ういちごは見かけの赤さに反してびっくりするくらいに甘みがなく、いちごに「あなたは果物じゃなくて野菜ですか?」と問いかけたくなるほどです。
それでも、やっぱり日本のいちごが恋しくなるのは、その日本産いちごの素晴らしい甘み。日本のいちごは世界一のように思います。
ドイツ人はいちごやベリーを買って、ジャムにする方が多いように思います。


いちご型の売店。同時期に白アスパラも売られています。これもまた美味しいのです。

そして、初夏ということもあって、日差しはどんどんと強くなり、目の奥にストレートに飛び込んでくる光で目がチクチクする季節でもあります。日本の日差しよりも強いので、サングラスは必須です。(が、しょっちゅう携帯するのを忘れ、帰宅すると目の奥が痛いということも多々ありました。。。目薬も必須です。)



この時期になると、公園やお庭で日光浴をしたり、バーベキューをするのをよく見かけます。ドイツならではの大きいソーセージ、厚切り肉など、煙をモクモクと、香ばしい匂いもあたりに充満し、皆さんドイツビール片手に楽しんでいます。私も友人達と学生寮の庭に集まりバーベキューを楽しみました。

なんとも豪快な食事でした。


そして7月の前半は忘れもしないあるオーディションがありました。
NDR(北ドイツ放送)合唱団員のオーディションです。ドイツではまず書類(場合によっては音源も添付)を送り、書類選考後にオーディションの招待状が届き、はじめてオーディションが受けられるというのが一般的です。
書類選考で落とされ招待状がもらえない(アジア人は特に)、という事も珍しくありませんが、幸い招待が手元に届いたので、ドイツで初めてプロの団体のオーディションを受けに行きました。
NDR放送局は家からバスで30分のところにあったので、飛行機やICE(ドイツの新幹線)などを使って長旅をしなくてすみましたが、現地に着くなり、大きな敷地と、テレビ・ラジオ放送のバス等が目に飛び込んできて、守衛をくぐる時から胃がチクチクとしていました。それぞれの部門ごとに建物が建っており、NDR合唱団とNDRフィルハーモニーの建物は一緒。現地に着くと、書類選考で選ばれた歌手が7名、緊張の面持ちで待機していました。韓国人が一番多く、3名ほど、後はドイツ人でした。
係の方に「発声したいですか?」と聞かれたので、発声をさせてもらう事に。
案内されたお部屋はオーケストラ用のだだっ広いお部屋で、グランドピアノが無造作に置かれ、ティンパニーやハープ、団員の燕尾服、その他もろもろが雑然と置かれているお部屋で発声させてもらいました。この時、声の調子があまり良くなく、本番どんな声がでるのだろうか・・・と不安はありましたが、心配したところで何も変わらないので、このスタジオに来れただけでも良い経験だと思って今日は歌わせてもらおう、というような気持ちでした。
まずは1次選考。名前を呼ばれ、一人ずつスタジオに入っていき、自選の曲を歌いました。私の順番は一番最後だったので、ずいぶんと待たされたように思います。
Frau.Kato!(加藤さん!)と言われた時には、もう緊張もピークを達していましたが、スタジオに入る時に段があり、そこでコケそうになりながら入室。あたりを見渡すと、NDR合唱団のソプラノとアルトの団員が勢ぞろいで、指揮者の方とで審査員をしていました。こんなに多い人達に審査されることなど、今までになかったので、歌う前から心臓が口から飛び出るかと思いました・・・。
それでもなんとか笑顔で「Guten Tag!」と挨拶をすると、団員の方々がお返事してくれたので、少しホッとしながら、自選の曲を歌いました。1曲歌い終わると、部屋から出され、その場で待機。数分後、係りの方が出てきて、2次審査に進めるかどうかをその場で言われます。
スタジオの袖で他の歌手の歌声が聞こえていましたが、皆さんとても素晴らしく、楽々オペラのアリアも歌い上げていたので、「皆すごいな〜。。。」と思いながらスタンバイしていましたが、前の歌手たちが「Alles Gute!」(お元気で!)と言われ(これは次のラウンドに進めないという意味なのです。)不満そうに次々に帰って行く様子をみて、もう胃痛もピークに。
それでもなんとか再度「Frau.Kato!」と呼んで頂き、2次審査で歌えることに。2次審査でモーツァルトのオペラアリアが絶対当てられると思っていたのですが、「モーツァルトのモテットの1曲目か3曲目のどちらかを歌って下さい。」と言われたので、1曲目を選曲し歌い終わると、また部屋から出されてその場で再度待機。お部屋を入っては出されの繰り返しでした。
気がつけば今までいた歌手が2次審査止まりで誰も3次審査には進めなかった状況を目の当たりにして、私もここまでかもしれない。と不安でドキドキしていると、再度名前を呼ばれて、3次審査の為、また歌わせて頂ける事に。3次審査は合唱曲の一部、ヘンデルのメサイアのメリスマ(コロラトゥーラが盛りだくさんのフレーズの箇所)とシェーンベルクの音取りが非常に難しい作品(しかし個人的にはヘンデルよりも好きな作品でした。)を歌いました。ヘンデルのメリスマを歌っている時には、一緒に手足まで震え出し、もう自分自身がメリスマの音符にでもなってしまっているかのようでした。歌い終わった後またお部屋から出されるかな、、、と思いきや、そのまま新曲視唱(その場で新しい譜面を渡されて数分後にすぐ歌う事)に突入。その場で知らない楽譜を手渡されました。
新曲視唱のテストなんてものは、大学入試以来です・・・。当時はどちらかというと得意な方でしたが、どうやってやっていたかしら。。。と思うほど、月日がたって感覚が鈍っていて、学部入試当時は階名(ドレミファソラシド)だけで歌っていたのですが、歌詞付きでそのまますぐに歌う、というのには苦手意識があったので、指揮者に「階名で歌って良いですか?」と聞くと、テキスト付きでそのまま歌って、と言われたので、はぁ〜そうですか、、、と渋々テキスト付きで歌う事に。1曲目はラテン語の歌詞で、割と簡単な音型でしたが、2曲目は、難しい音程幅が何箇所もあり、しかも私の苦手な初見テキスト付き・・・(まぁ歌なので歌詞があるのは当たり前の話ですが音階で歌う方が断然私にとっては簡単なのです。)。
危なっかしいったらありゃしない・・・というレベルでなんとか指定された最後の部分に辿りついたものの、自分の余りの出来に、その場で譜面台に「はぁ〜っっ、ごめんなさい!」と突っ伏してしまい、完全に完敗して干上がっている私の姿に、団員の方々は皆さん大いに笑っていらっしゃいました・・・。
歌い終わると、指揮者から1曲目の1箇所音程が若干高いから、直してそこだけ歌ってみて、と言われて、少し低めに歌い直し、更に2曲目で、ドイツ語のテキストで1箇所、そこは繋げないで切って歌ってみて、と言われたので、その通りに歌い直し、その後またお部屋から出されて待機。
正直、この新曲視唱の出来では、恐らく落とされるな・・・。と思って最終結果を待っていました。最終結果を待つ間、上の階のスタジオではNDRフィルハーモニーがリハーサルをしていて、かなりダイナミックな曲目を練習していたので、その音楽がますます私の不安を掻き立てるのでした。そしてオーケストラが休憩に入ったのか楽器を持った人たちが私の前を通る度に「ハロー」と、いちいち(失礼。)笑顔で挨拶してくれるので、私は緊張の最中、スタジオの挨拶係りの様になっていました。

だいぶ待たされた後、合唱指揮者が出てきて、とっても良かったですよ!と言われ(え、あの出来でですか・・・?)となんだか申し訳なく思いながら少しお話しましたが(オーディションに関係のない話まで。)、最終結果はまた追ってご連絡します。との事でこの日のオーディションは終わったのでした。帰りのバスの中では、もう抜け殻の様にぽか〜ん、と座って帰路についたのでした。

その後、正式な書類が手元に届き、自由契約という形で雇ってもらえることになり、9月に2つのプロジェクトを頂き、初仕事をすることになりました。
とても緊張しましたが、この "場"を踏む経験を積まずには先がない音楽家の世界。
精神が鋼の様でなければやっていけない世界を改めて見せられ、今回、胃に穴が空かなくて良かった〜。というなんとも低レベルな安堵感に包まれて今回のオーディションは終わりました。それでも、今回こうした経験ができた事、胃に穴が空かなかった事は"感謝"の壺に貯められそうです。
NDRのプロジェクトについてはまた9月の出来事で書こうと思います。

北ドイツ放送局(NDR)の敷地内部。
目の前の建物の中には社員食堂がありました。


さて、もうすぐまたオーディションがあります。精神を鍛えて臨めるよう、美味しいものをたくさん食べて備えようと思います。

最後は日頃の小さな感謝の一つ一つ、日頃のパワー源の一部の写真で終わろうと思います。(今回は想定外に食べ物ばかりの写真になってしまいました・・・書いていてまたお腹が空いてきました・・・。)

初めてバター・砂糖を使わず、タルト生地から作ったりんごタルト。
気分転換の休日に"節約"という面目で。


説明を追加

お腹が空きすぎて勢いよく作ったココアクッキー。
1枚目 "勢い" が形に表れました。笑


今ドイツで流行りの、その名も"Kaki"。
因みにドイツ人はこれを皮ごと食べます・・・。ここは若干理解に苦しみます・・・。
柿を食べると祖母と昔保護していたメジロの事を思い出します。両者とも柿(特に柔らかくなった)柿が大好きでした。過去形で書いてしまいましたが、大好きな祖母は今も健在です。元気に長生きしてもらいたいです。

母に送ってもらった蕎麦でネギ蕎麦を。至福のひと時でした。

日本人の友人との会話中に餃子の話題になり、どうしても餃子が食べたくなったその晩、皮からせっせと手作り。キッチンで粉だらけになりながら作る私の姿に同居人のドイツ人から何作ってるの?!と怪しまれながらも御構い無しに作りました。ちょっと皮が厚めで形も悪いですが、とっても美味しくできました。その日の内に15個を完食。




Bioスーパー(有機農産物、有機加工食品を売っているスーパー)で、普段は高くて買えないお肉(ひき肉)が半額になっていたのでその日は上機嫌で贅沢にハンバーグを作りました。Bioのお肉は味が全然違いました・・・恐らく良い環境で飼育されたお肉なのでしょう。今まで食べた中で一番美味しいハンバーグに仕上がりました!


そして最後に。先日高校の同級生から嬉しい日本食が届きました。
ドイツではなかなか貴重なものばかり。本当に感謝です♪









2 件のコメント:

homo reus さんのコメント...

NDRのオーディション凄いですね。3次まで!
アマチュアの私はYMCAとは別に所属する合唱団の出演オーディションに
毎回ヒイヒイ言っていますが、やっぱりプロは大変だなあ。
YMCAで加藤さんの歌声が聴けるのは楽しみです。
益々のご研鑽、ご活躍をお祈りします。
因みに、卒論がヴェーベルンとは意外でした。

ー シェーンベルクの12音技法と格闘中の一合唱団員より -

Mai Kato さんのコメント...

home reusさん、
コメントをありがとうございました。
プロの世界は音楽に限らずどの世界も大変な世界ですよね。でも大変だからこそやりがいはあるものです。
ヴェーベルンは私はまだまださわりの部分を学んだ、というのに近いですが、良い勉強になりました。
シェーンベルクの作品、頑張ってくださいね。