6月の出来事 その② トロッシンゲンでのマスタークラス

トロッシンゲン音大の近くにいた猫

先日に引き続き、6月の出来事その②です。
空いた時間を見つけて、少しスピードアップしてブログを更新したいと思います。
私の性格上、今年あった事を書き終わらないうちに、気がついたら今年も終わっていた・・・なんて事もあり得るので・・・(笑)。

6月の中旬から下旬にかけて、Stuttgart音大の教授のマスタークラスがドイツ南部の街、トロッシンゲンであるということだったので、受講しに南まで行ってきました。
ハンブルクからICE(日本で言う新幹線)とRegional(地域に走る電車)に乗って、乗り換え含めて約9時間。詳細はICEでハンブルク駅からシュトゥットゥガルト駅まで約6時間、乗り換え時間約1時間、トロッシンゲン駅からスイスのチューリッヒ駅 行きに乗って約2時間。

もう到着する頃には、座り疲れで身体もバキバキに凝り固まっていましたが、無事に到着。
ハンブルクの都会の景色に慣れてしまっていた私を迎えてくれたのは、人数も少なく、建物も余りない、そして途中乗り換えた電車がたったの2両、という衝撃の風景でした。

それでもここトロッシンゲンには音大があり、日本人も多く在籍する学校で、何人かの日本人学生とも新しく出会う事もできました。

マスタークラス会場は駅から徒歩で約30〜40分程歩いた所にあり(車を使えば良かったのですが、知り合いの先輩もいたので、スーツケースを転がしながら田舎道を歩いて向かうことに。)、やっとの思いでたどり着いた会場は、地平線に囲まれ、近くには黒い森(Schwarzwald)もあり、兎にも角にも自然一色の場所にありました。

そのお陰で、夜空の星の多さに感激のため息をこぼしたり、マスタークラス期間中のレッスンが始まる前までの時間、知り合ったトロッシンゲン音大の日本人の人たちがわざわざマスタークラス会場まで出向いてくれ、皆で朝の清々しい空気を吸いに、黒い森まで散歩にも行きました。このお散歩ほど気持ちの良いお散歩はない、といっても過言ではない程、鳥のさえずりや、苔の生える木々の間を通り抜けながら、何回深呼吸をしたことか。
自然の癒しの力は最強でした。

さて、肝心のレッスンですが、教授のレッスンはとても明確で分かりやすく、教授自身の指導力の高さに驚きの連続でした。
今回様々な年齢の歌手が集まっていましたが、臨機応変に、今その生徒にとって一番大切な課題を見つけ出してレッスンして下さるその姿は、まさに教えるプロでした。

今回、私はメンデルスゾーン、A.ヴェーベルン、バーバー、R.シュトラウス等の歌曲を用意していきましたが、どれも丁寧に指導して下さり、先生が目の前で少しポイントになる動きをして下さると、上手に歌えるのです。。。いつも先生が目の前にいて下されば良いのに・・・と、どうしようもない事を考えながらレッスンを受けていました。

マスタークラス修了後には受講者の中で選ばれた生徒のコンサートがあり、私はメンデルスゾーンの歌曲を歌わせて頂きました。このコンサート、予定では夜の8時から始まる予定だったのですが、この日はちょうどワールドカップのドイツ対スイス戦があるとの事で、この試合開始の時間に合わせてコンサート時間が30分繰り上がって始まりました。ドイツ人のサッカー愛を垣間みた瞬間でした。演奏会後の、大きなテレビがあるロビーの盛り上がり様といったら言うまでもありません。

コンサートの時間変更がその日の朝に受付に貼り出されていました。
サッカーの時間に合わせて時間を変更する程のサッカー愛、ドイツです。

コンサートは、やはりレッスンと本番とでは当たり前ですが全く雰囲気が違うので、いつも通りに歌えない自分がいたり、自分の弱い部分、課題の部分も多く見つけましたが、終演後に先生に所に講評を頂きに行き、今後の先生のマスタークラスの予定もお聞きし、また受けよう、と決めました。

終演後にトロッシンゲン音大の日本人学生達から頂きました

マスタークラスも無事に終わり、ひょんな事から先生がシュトゥットゥガルト空港まで車で送って下さることに。車の中は一部始終緊張しっぱなしでしたが、それでも自身のレパートリーについて先生に質問させて頂いたりと最後まで有意義な時間を過ごせました。


マスタークラスの宿泊施設のお部屋から見える景色は自然一色でした

お部屋からの景色
“黒い森” の入り口



苔の生えた切り株


森の中で見つけた野バラ

森で拾った松ぼっくり
森を抜けるとどこまでも地平線が続いていました

トロッシンゲン周辺を走る2両編成の電車